アイラブフェアレディzのレビュー|z32の初期・中期・後期の違いがわかる一冊

今回は「アイラブフェアレディz」のレビュー記事です。

国産の市販車で初めて、280馬力に到達したフェアレディz32は1989年にデビュー。生産中止となった2000年までの11年間に5回のマイナーチェンジを実施。そのため、前期型と最終型を乗り比べると性能や質感に差があります。

「アイラブフェアレディz」では初期・中期・後期の違いを特集。そのため、z32購入前には一度は目を通しておきたい書籍です。

目次

アイラブフェアレディzのレビュー|z32の初期・中期・後期の違いがわかる一冊

アイラブフェアレディz(左:改訂版、右:通常版)

「アイラブフェアレディz」はフェアレディZ-z32-の特集本です。z32が生産終了してから3年後の2003年5月に発行。z32に絞って第一章〜第九章にわたって年代別モデル解説、開発者インタビュー、メンテナンス術が特集されています。2008年には改訂版も発売されました。

本書はz32の仕様をまとめた唯一に近い特集本に仕上がっています。特に第二章「年代別モデル徹底詳細」が初期・中期・後期の違いをまとめているので必見です。

第二章:年代別モデル徹底詳細

「第二章:年代別モデル徹底詳細」は必見の内容

前期

  • 1型:1989年7月~1992年8月
  • 2型:1992年8月~1993年9月

中期

  • 3型:1993年9月~1994年10月
  • 4型:1994年10月~1997年1月
  • 5型:1997年1月~1998年10月

最終型

  • 6型:1998年10月~2000年8月

「アイラブフェアレディz」の第二章では初期・中期・後期の違いが図解入りで解説されており、本書の一番の見どころです。

z32は約10年間にわたり細かいマイチェンを繰り返した結果、計6種のモデルが存在しています。z32は大きな外観デザイン変更なく、あの姿を保ち続けましたが、中身については熟成が進みました。

かつてないほどの専用設計の塊で生まれたz32ですが、初期モデルならではの不具合も混在。2型、3型以降、そうした不具合も少しづつ改善されていきました。1998年にはビックマイナージェン時を行い、Tバールーフ車ゆえのボディ剛性も改善されていきました。

6型となる最終型はz32の数々の弱点を克服した仕様ともいえます。この章はz32購入前には目を通しておきたい内容です。

初期・中期・後期(最終型)の大まかな違いを抜粋して紹介

初期・中期・後期の大まかな違いを「アイラブフェアレディz」から抜粋して紹介します。

前期型(初期型)

フェアレディz32:前期型(初期型)

前期型(初期型)

  • 1型:ドアにシーベルトユニット付き、エアコン冷媒はR12、エアコンはデフブロスター以外、吹き出し口が選べないフルオートタイプ
  • 2型:シートベルト取り付け部がロックピラーフィニッシャーに移動、オートエアコンの吹き出し口が手動で選択可能

ハイパフォーマンスの追求を目指した4代目”フェアレディZ”は1989年7月にデビュー。ボディはホイールベースの異なる2シーターと2by2が用意されましたが、どちらもプロポーションに崩れのないデザインを実現。

1型の一番の特徴はドアにシートベルトユニットが装着されている点。欠点はシートベルトをしたままだとドアが開けられないことですが、慣れれば特に問題はありません。しかし、2型のマイチェンであっという間に廃止。

その代わり、2型からはオートエアコンの吹き出し口が手動選択できるようになりました。

2021年現在、前期型のz32も値上がりが顕著になりました。しかし、昔からz32界隈では「前期型(初期型)は故障が多い」という話は通例でして、私も多少なりとも経験しました。

今でも一応、初期型のTTに乗っていますが、プライマルで修理をしてもらいました。その結果、公道でオーバーヒートして止まるなどの問題は起きていません。初期型といえども、費用をかけて修理ができるのであれば問題のレベルは低くなります。

ようは、『中古車屋やヤフオクでポン!っと売られている初期型は要注意』って感じですね。

中期型:z32の熟成期間

中期型

  • 3型:純正リアスポイラーがブーメラン形状に変更、スーパーハイキャスは油圧から電動に変更、エアコンの冷媒にR134a
  • 4型:ブレーキキャリパーはアルミからスチール製に変更、リアワイパーの長さが475mmから400mmに変更、ブースト計廃止
  • 5型:ミッドナイトパープル(#LP2)が追加、2シーターモデルはノーマルルーフのみ

中期型はリアスポイラーがブーメランタイプに変更になったことが大きな特徴です。ツインターボに装着されているHICASが油圧から電動式に変更されました。エンジンルーム内のスペースを圧迫していたソレノイドバルブがなくなったことで、若干の余裕が生まれています。

4型ではブースト計が廃止されました。『このz32、メーターにブースト計がないからNAじゃん』という指摘をするときは思いとどまってもう一度確認しましょう。そのz32、4型のツインターボ仕様かもしれません。

3型以降、z32が熟成機に入ってきたといえます。

最終型:最初で最後のビッグマイナーチェンジ。ボディ剛性が向上

z32最終型:ボディ剛性強化など大幅な改良が加えられた

最終型

  • 6型:ボディ剛性が向上、エクステリア刷新、キセノンヘッドライト追加、バージョンRには専用スポーティサスペンション追加、ブースト計が復活

フェアレディz32は1998年に最初で最後の大幅マイナーチェンジを実施。

エクステリアが大幅に刷新され、現代風にリメイク。最終型の車体色には「ライトニングイエロー」が新たに追加され、中古市場ではかなり高値に取引されます。退色してない限り、実車のライトニングイエローは鮮やかな発色です。

また、最終型ではz32の元からの弱点だったボディ剛性の改善が大いに図られました。各板厚を増してボディ剛性が向上。さらにバージョンRにはフロアトンネルメンバーが大型化、ドアにダブテールも追加されました。

実際に最終型/2by2/Tバールーフ/バーションSと、初期型/2シーター/Tバールーフを乗り比べると、ボディ剛性には大きな違いがあります。z32の初期型はs13シルビア、最終型はs15と同年代です。z32は10年ほど同じ形状で販売されましたが、マイナーチェンジを繰り返した結果、目に見えない範囲の熟成が進みました。

まとめ

今回は書籍「アイラブフェアレディz」を紹介しました。特に、第二章「代別モデル徹底詳細」はz32購入前には一度は目を通した方がいいかもしれません。

2021年現在の中古車市場をみると、あまり評判のよろしくない初期型も高値で取引されるようになりました。自分がz32を購入した2013年頃と比較すると、明らかに底値が上がっています。

といっても、クルマの中身が変わっているわけではないので初期型の購入には注意が必要です。可能であれば、不具合の改善が進んでいる高年式のz32を選んでいく…というのが安パイだと個人的には考えてます。

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