安彦良和アニメーション原画集『機動戦士ガンダム』のレビュー

2013年に安彦良和アニメーション原画集『機動戦士ガンダム』が発売されてました。

今更ですが、内容をレビューします。劇場版3作品の安彦原画が掲載されています。個人的にガンダムIIIの戦闘シーン目当てで買ったので、レビューはその内容が中心となります。

安彦キャラの原画は間違いなく堪能できる原画集になっています。


目次

原画集に期待していた事は『ガンダムIII・戦闘シーンの原画』

庵野氏:安彦さんと板野さんの原画を見て、アニメーターになりたいと、思った

  • 著:安彦良和
  • 責任編集:庵野秀明
  • 構成・編集:氷川竜介
  • 協力:板野一郎
  • 発行日:2013年5月13日

この原画集を購入してから、7年ぐらい経過していることが信じられないのです。本書は安彦氏の第一原画、レイアウトなどを関係者が保存していたものが発掘されたので出版したんだそうです。

昔は、原画やセル画は満足に保存されないのが通例なので、見つかっただけでも奇跡。

個人的に原画集に期待していたのは、ガンダムIIIの戦闘シーンの原画でした。モビルスーツや爆発の挙動を、原画で見てみたかったです。

①:ジオングの有線ハンドがフレームインしてビームを放つ

特に、アムロの『避けたのか..?』のセリフから始まるガンダムVSジオングのシーンはアバオアクー戦での見所。スムーズなMSの挙動と軽快なカット割りに爽快さを感じます。

②:爆発が広がる中、コアブースターが突進してくる印象的なカット

③:爆発の衝撃でビグザムがよろける

その他にも、ソロモン戦の②や③のカットも、ガンダムIIIを象徴するシーン。原画集にはこうしたカットの掲載を、望んでました笑

[say name=”みすてる” img=”https://paperwave1999.com/wp-content/uploads/2020/04/z3233.jpg”]ガンダムIIIの戦闘シーン目当てに、買いました[/say]

p.271にもおよぶ大ボリュームの原画集

アニメーション原画集『機動戦士ガンダム』のレビュー

鉛筆描線の筆圧から階調まで、最新印刷技術で徹底再現、徹底収録

原画集の編集意図

本画集はTVシリーズ「機動戦士ガンダム」とその再編集フィルムに新作を加えた劇場版「機動戦士ガンダム」3部作に使用された安彦良和のアニメーション原画を収録したものである。現存する原画の実物、撮影されたカラーポジ、および一部コピーを素材としている。

構成は、作品毎に全4章としているが、厳密なストーリーを追うものではない。見開きやブロック単位で、原画のもつ魅力や迫力が楽しめるよう配置を考慮している。

図版の解説上の次男や図版の大小、配置、動きの流れ、類似カットの集合など構成面の意図により、必ずしもシーンの前後どおりではない部分がある。ただし、劇場版第3部作「めぐりあい宇宙編」は、現存する原画の分量も多く、流れに意味のある部分も多いため、ストーリー準拠を意識している。

引用元:安彦良和アニメーション原画集『機動戦士ガンダム』p.4

本原画集には、TVシリーズの原画と劇場版『機動戦士ガンダム』3部作の原画が収録。基本は劇場版が中心で、キャラクターや兵器の原画が満遍なく載っています。原画は、ストーリー順に掲載されているので、途中で違和感を感じることはないです。

読んでみて気になった点

目次

MSの戦闘シーン・原画はあるけど少なめ

  • 富野監督のメッセージがp.3に掲載
  • p.4〜p.6に用語解説があるので初心者にも優しい
  • おおむねストーリー通りにまとめられているので見やすい
  • キャラクターの原画が豊富だが、主役兵器は少ないかも
  • 原画が通しで掲載されているカットは少なく、単発の原画のほうが多い印象
  • ①ガンダムVSジオングの原画は掲載なし
  • ②コアブースターのカットは掲載なし
  • ③ビグザムは爆発初動のカットが1枚だけ掲載
  • 庵野×板野×安彦の対談も見所

本原画集はガンダムI〜IIIを幅広くフォローする内容になっていました。花のある安彦キャラの原画がたくさん掲載されています。

それとは逆に、劇中で印象深かったMSの戦闘シーンの掲載は少ない印象を受けました。ガンダムIIIは戦闘シーンが多いわけではないので、IIIにおける主役兵器の原画が少ないことから余計にそう感じました。

ガンダムIIIではジオングの新規カットもありましたが、原画は2枚だけしか掲載されてません。ア・バオアクー戦の見所だった、ガンダムVSジオングの新規カットも掲載されていませんでした。そして、単発の原画が多め。

理由は、劇場版全体を幅広くフォローするために、局所的に解像度を高くしなかったからだと思われます。もしくは原画が紛失してしまっているかのどちらか。

第一原画:安彦、第二原画:板野

一番見返すことが多いのが、ジムがリックドムに斬りかかるシーンです。ここはちゃんと通しの原画で掲載されていて、参考になりました。ページ数の制限もありますが、通しの原画が掲載されてると解像度が上がります。

…といっても、この第二原画は板野氏が描いてるものなのですが。。

見所は安彦氏×板野氏×庵野氏の対談

p.260〜p.268にかけて、3人の対談が掲載されています。内容は専門的でプロ向きですが、素人が読んでいても面白いです。

その中で、気になった点は以下です。

庵野:僕はつまらないと勝手に変えてましたから。あまりにもつまらなくて、作打ちで降りたこともあります。コンテがものすごく大変なことを要求してて、それで納期は二週間で、でも枚数は使わないでくれっていう。そりゃ無理ですよ(笑)

安彦:これは若い人が読んだら、ぜひ挑発と受け止めてほしいね。「変えていいんだよ。」「降りてもいいんだよ」って(笑)。でも、もちろんツケは払わされる。「あの生意気なやつは誰だ!」って。

庵野:ええ。それはサンライズの作品で、あれから仕事来なくなりましたから(一同笑)。

安彦:やっぱり覚悟があるかどうかだね。

引用:安彦良和アニメーション原画集『機動戦士ガンダム』p.266

庵野監督は、過去にサンライズの作品で作画打ち合わせの段階で降りたらしく、それから仕事が来なくなったそうです。理由は無茶な要求があったからだそうです。

2019年3月にはガイナックスとの権利関係も暴露されましたが、アニメスタジオには魔が潜んでるよな、ほんと。

まとめ

今回は、安彦良和アニメーション原画集『機動戦士ガンダム』をレビューしました。

僕はガンダムIIIの戦闘シーン目当てで購入しましたが、内容は多少薄く感じました。ですが、安彦キャラの原画は豊富に掲載されているので、それ目当ての方にはおすすめします。

個人的な希望ですが、一番現存している枚数が多いガンダムIIIオンリーの原画集もみたいですね。未掲載の原画があればの話ですが。。

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