機動警察パトレイバーに登場する警備用レイバー”サターン”
イングラムに引けを取らない高性能レイバーであり、第二小隊を翻弄した。今回は機体解説として、サターンの魅力をまとめていく。
【パトレイバー】サターンの機体解説|軍用に限りなく近い最新鋭の警備用レイバー
- 機体名:サターン
- 型式:SR-70
- 製造メーカー:トヨハタオート(シャフトのOEM)
- 発売年度:1999年
- 全高:7.90m
- 全幅:4.40m
- 乾装重量:6.05t
- 全備重量:6.65t
- 外装材質:FRP、CFRM
- 最大起重:2.85t
- 最小旋回半径:4.00m
- 装備:スタンドナイフ、42mmオートカノン、電撃端子付き大型シールド”スタンベイル”
SR-70 ”サターン”は、特車二課第一小隊に試験的に配備されたSRX-70の後継機に当たる。最新鋭の警備用レイバーとして新興メーカーであるトヨハタオートから発売。主に警備会社向けに販売されている。
民間警備会社の最大手となる”ホリ・セキュリティー・サービス”には20機以上が納入された。
表向きにはトヨハタオートからの販売されているが、実際の開発元はシャフト・エンタープライズである。シャフトはトヨハタオートへの技術提供だけでなく製作までも引き受けている。
つまり、サターンは実質的にシャフトのOEM製品なのである。
外見こそSRX-70から大きな変更はないもののシャフトの協力により、若干のスペック向上を果たしている。さらに学習型コンピューターを搭載し、イングラム以上の運動性能も発揮可能であった。
装備はスタンナイフ、42mmオートカノン、大出力の電撃端子を備えた大型シールド”スタンベイル”を備えている。
スタンナイフはイングラムのスタンスティックと同様に、レイバーのFRP装甲に突き刺して作動させることで相手を行動不能に陥らせることが可能。本装備は左肩のケースに収納され、中央のリングスイッチを押すことでストッパーが外れ、引き抜くことができる。
42mmオートカノンは、イングラムの37mmリボルバーカノンよりも強力。頭部右側面にある収納スペースに収められ、ハッチを開閉することで取り出せる構造になっている。
旧機種”SRX-70”の右肩に装備された20mmバルカン砲は取り外されているが、警備用というよりも限りなく軍用に近い仕様であることは間違いない。
市場に出回っている警備用レイバーの中で最も高性能かつ高価な機体である。第二小隊のイングラムとはTV、NEW OVAシリーズと再三に渡り、激闘を繰り広げた。
TV、NEW OVAシリーズでの活躍
サターンはTVシリーズ 23話『黒い胎動』24話『亡霊ふたたび』『怪しい二人』および、NEW OVA『雪のロンド』に登場。
あくまでも警備会社に配備される機体であるが、ヘルダイバーのように第二小隊と共闘することなく終始、敵役で活躍する。
TVシリーズ 20話『黒い胎動』21話『亡霊ふたたび』
SR-70″サターン”はTV版20話『黒い胎動』、21話『亡霊ふたたび』において初登場。警備会社ホリ・セキュリティーサービス(HSS)の社員に偽装したシャフトの黒崎チームが使用した。
本機は第一小隊に採用されかけたSRX-70の後継機種であったが、認知度は低く、第二小隊のメンバーは訓練事故の報道でその存在を知ることになる。その実、事故は黒崎による自作自演によるものであり、HSSから業務を引き継ぐ名目で、現地入りの指令が第二小隊に出てしまう結果となった。
作中では実験機”ファントム”の護衛機として行動。イングラム2号機とヘルダイバーを42mmオートカノンで狙撃し、行動不能にしてみせた。
最後は遅れて現地入りした3号機に、頭部を踏み潰されて機能停止。20・21話では終始隠密行動を取っていたため、その高い運動性能を披露しないままであった。
1号機とも直接対決しなかったため、あくまでも後方支援機として印象が強く残ってしまった。
TVシリーズ 28話『怪しい二人』|イングラムと直接対決
TVシリーズ 28話『怪しい二人』に再登場。
前回登場時はあくまで後方支援色が強かったサターン。28話では内海らがイングラムの実力チェックのために差し向ける形で、1号機との直接対決が実現。イングラムに勝るとも劣らない運動性能を披露した。
リボルバーカノンを発砲しながら突進してくるイングラム2号機の懐に飛び込み、ラリアットを食らわせるサターン。開始2秒で2号機のアイシールドを破壊し、ダウンさせてしまう。
太田の2号機はサターンに全く手が出ず、防戦一方。太田機といえども、イングラムを圧倒してしまう運動性能の高さは本物と言える。
しかし、1号機が仕掛けたワイヤーに引っかかり転倒。単純にスペック主義に依存しない、斬新なアイディアが勝った瞬間である。
最後は2号機からトドメの一撃を喰らい、ノックダウン。前回同様、頭部を破壊されて機能停止した。
New OVA『雪のロンド』
New OVA『雪のロンド』では東京都庁を襲撃する目的で犯罪グループに使用され、第二小隊と大捕物を演じた。OVAではTV版と若干異なるカラーリングで登場。
この登場回はデザイナーの出渕裕氏自らコンテを担当し、サターンの躍動が見事に描かれた。
都庁前まで逃走してきたサターンは、突進してくる2号機の頭部を破壊し難なく退けてしまう。
イングラム1号機が咄嗟に前に立ちはだかり制止させようとするが、逃走をやめないサターン。高低差を物ともせず、市街地を素早く移動することができる。
左肩のスタンナイフを逆手に構えて投擲するという、イングラム顔負けの器用さも見せつけた。
スタンナイフ引き抜きモーションは作中最も印象深いシーンである。元々、引き抜き動作の設定が存在していて「アクションプロセスとして1カットでも引き抜くシーンがあるとらしくなります」と注意書きされている。
設定時から意図的に見せたかったシーンが『雪のロンド』でようやく実現したのかもしれない。
左手に構えたシールドを傾斜させ、偶然とはいえリボルバーカノンのタマまで弾いてしまったサターン。その突拍子もない動作からも最新鋭のレイバーであることを認識せずにはいられない。
結局、最後は復活した2号機に電磁警棒で頭部を潰されて、機能停止。
登場回全てにおいて頭部を破壊されるというある種、お決まりのパターンと言ってもいいかもしれない。
総評
今回は機動警察パトレイバーに登場する警備用レイバー サターンについてまとめてきた。
劇場版には登場しないが、スマートなデザインのためにシリーズの中でも人気が高く、ソフビキットやフィギュアも発売された。作中でも再三登場していて、グリフォンに次ぐ、強敵と言えると思う。スタンナイフ、オートカノン、電撃端子付きシールドをフル活用されたら、イングラムも危ういと感じさせる存在でもある。
また、作中ではサターンの搭乗者がしゃべるシーンはたったの1カット程度しかなく、他のレイバーと違って血の通っていない冷酷無比な印象も持っている。
そして”サターン”といえばセーラームーンにも同名キャラが登場する。ドラゴンボールにはサタンなんてキャラも登場したし、ゲーム機には”セガサターン”もあった。
そう、90年代初頭から中盤までは”サターンだらけ”だったのだ。想い出深い90年代において”サターン”という言葉は、印象が強く残っている。
たぶん、この中で一番マイナーなのがパトレイバーのサターンだと思う。
どちらにせよイングラムの対抗機種として、パトレイバーシリーズには欠かせない機体である。