パトレイバー劇場版1・サウンドリニューアル版のセリフが再アフレコされた理由

パトレイバー劇場版1・サウンドリニューアル版のセリフが再アフレコされた理由

パトレイバー劇場版1は1998年に5.1ch対応と銘打って、サウンドリニューアル版のDVDソフトが発売されました。それ以降、VODサービスや劇場公開イベントでは、もっぱらサウンドリニューアル版が採用されます。

しかし、いにしえのパトレイバーファンの間では、『セリフのイントネーションが昔と違う』というのがもっぱらの評価です。サウンドリニューアル版制作にあたり、セリフはすべて再アフレコされています。

そもそも、5.1ch化にあたってなぜ再アフレコが必要だったのか、考えてみると疑問なんですよね。

その理由は、旧音源のマルチテープが現存していないことにありました。

セリフが再アフレコされた理由は、音源の素材を廃棄してしまったため

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だが、「機動警察パトレイバー劇場版」は、ミックスしたテープしか現存していなかった。

5.1ch化するにあたり、アフレコから効果音、音楽などすべて最初からやり直さなかればならなかったのである。

(パトレイバー2ではマルチテープが残っていたため、アフレコのやり直しは行われていない。)

こうして98年7月4日から6日までの3日間、アニメ史上例のない、9年を経ての再アフレコが行われたのである。

引用:PATLABOR THE MOVIE “LIMITED EDITION” LANDSCAPE BOOK

パト1劇場版のサウンドリニューアル版を制作するにあたり問題になったのが、セリフと効果音、音楽がミックスされていないマルチトラックテープが現存していないことにありました。

残っていたのは音源(セリフ、BGM、効果音)が全てミックスされたテープだけ。

普通であればセリフと効果音などが別々に収録されているマルチテープを使用して、5.1ch対応作業をするそうです。しかし、パトレイバー1の場合、適切な音源素材をすでに廃棄してしまっていたというわけです。

そのため、5.1ch化にあたってセリフをすべて再アフレコすることになりました。

ちなみに、パトレイバー2は音声単体を録音したマルチテープが現存していたので、再アフレコはされていません。パト2のサウンドリニューアル版をみても、セリフのイントネーションに違和感を感じないのはこのためです。

パト1のオリジナル音源はスペースの都合で廃棄されてしまった

PATLABOR MOVIE ARCHIVES:240pにわたってパト1と2のメイキング資料を収録

『パトレイバー1』と『2』を5.1チャンネルサウンドにリニューアルする話が出て、とにかく問題になったのが『1』については素材がなくなってしまっていることです。

9年前ですから、当時はまだアナログのマルチテープに入れていました。大きくてずっと保管しておくのが大変で、その上スタジオで機材のデジタル化が進み、アナログ機材の廃棄が決まったところだったので、MEだけコピーをとっておいてあとはつぶしてしまったんですよ。

ですから、ほとんどやり直しの取り直しになるな、と思いました。

音楽も効果音もアフレコに到るまで、ほとんどです。

引用:PATLABOR MOVIE ARCHIVES p.68

そして、パト1の音源がなかった理由はスペースの都合で廃棄してしまったと 斯波重治氏は語っていました。

東京近辺のスタジオはとにかくスペースがなさそうですし、使わないと判断した素材はどんどん廃棄されてしまうんでしょうね。

この辺りは、貴重なセル画が廃棄される理由と似ていると思います。

パトレイバー劇場版1・サウンドリニューアル版まとめ|再アフレコでは声優も苦戦

後藤隊長役の大林隆之介(現・隆介)は、

時間を経て同じ作品のアフレコというのは困った、というのが最初の感想です。とにかく年をとるし、当時の「熱」の部分も、ね。

やはり再演ものは難しい。もちろん、再演ものは深くはなるのですが、その時のスタッフや俳優の熱のようなものに相当左右されるんです。

だから表現して練れてきたとしても小さくまとまってしまい、セリフ回しがうまくいったというだけではだめなんですよ」

引用:PATLABOR THE MOVIE “LIMITED EDITION” LANDSCAPE BOOK

今回は、パトレイバー1のサウンドリニューアル版でセリフが再アフレコされた理由をまとめました。

端的にいうと、旧音源のマルチテープが現存しなかったので、再アフレコしたという流れです。本来であれば、過去のセリフ音源を使いつつも、5.1ch化するのが定石ですが、パトレイバー1ではできなかったのです。

再アフレコにあたって、後藤隊長役の大林さんは「困った」と述べており、昔と同じようには演じられないということです。

5.1ch環境でもない普通の音響設備で視聴する限り、サウンドリニューアル版のセリフのイントネーションに違和感を持つのはしかたがないですね。

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