F91初期案のデザインで、ガンダムF90が商品化された理由

F91の初期デザインはガンダムF90に流用されて、ガンプラ化されました。

『機動戦士ガンダムF91(1991年3月公開)』は、1990年の映像展開を目指して制作されていました。しかし、スケジュールの都合で実現不可能になったため、つなぎの企画としてガンダムF90が商品化されました。

F91のプロトタイプという設定を作って、初期デザインをF90に流用してガンプラ化につなげたというわけです。その経緯をまとめていきます。

概要:F91の初期デザインは、ガンダムF90に流用された

F91の初期案はF90に流用された

左:F91の初期案1(パーフェクトファイルより引用)、右:F90

ガンダムF91のデザイン完成までの流れ(パーフェクトファイルより抜粋)

  • 案1(1989年8月4日):誰から見てもガンダムだとわかるようにデザインされ、F90に流用される
  • 案2(89年):案1に近いガンダムの左肩に『F91』とナンバリングされている
  • 案3(90年1月30日):現在のF91のようなデザインになる
  • 案4:富野監督のアイディアだった『口』が初めて描かれる
  • 案5(90年春):富野監督と安彦氏とのやりとりもしながら修正
  • 案6(90年5月14日):細かい修正を残して、現在のF91の姿となる

”新しいガンダムの企画”は89年4月にスタートし、大河原氏によりMSのデザインが進行。F91の初期案1は1989年8月4日に完成しますが、ガンダムF90の格好をしています。その後、初期案1はガンダムF90としてガンプラ化されることになるからです。

案3で、ようやく肩に放熱フィンや背中にヴェスパータイプの武装が追加されてF91のデザインに一気に近づきました。この頃には、F91の企画はテレビシリーズではなく、劇場版の想定になってます。

90年5月14日になって、ようやく今のようなF91の姿になります。この時点で、91年3月の映画公開まで1年切ってますね。

ボツになったF91の初期デザインは、ガンダムF90として商品化されることなります。

F91初期案のデザインで、ガンダムF90が商品化された理由

ガンダムF91の初期案がF90として商品化された理由について解説します。

1990年の展開を目指していた”新ガンダム”の放送媒体がまとまらず、つなぎの企画としてF90の商品化が決まったのが理由です。

実はこれらのデザインが用意されるよりも前に、別に用意されていたガンダムがあるのだ。それが「F91」の制作発表以前にプラモデルなどで展開されたF90なのである。

なぜ、最初に用意されたガンダムが使用されなかったのか?その理由をサンライズの設定制作、井上幸一氏に聞いてみた。

井上(サンライズ制作進行):最初に新作のガンダムの企画ができた時は、90年に始める予定だったです。もっともその頃は、TVシリーズでやるのか劇場作品にするのかも決定していなくて、とりあえず作業を進行させておこう、という状態だったんです。

それで、大河原さんにお願いしてデザインはできあがったのですけれども、肝心ないつどんな形で映像にするのかなかなか決まらない。準備の時間も考えると90年中に皆さんに見ていただくことが不可能な時期を迎えてしまいました。

デザインというのは、たった1年でも経つともう旬を過ぎてしまい、どこか古臭さを感じさせるので使いにくくなってしまうんです。でも、せっかくデザインしてもらったものをオクラ入りさせてしまうのはあまりにももったいない。

バンダイさんの方でも作品が1年延びてしまったわけで、何か間をつなぐものが欲しい。ということで、映画とは直接関係ないがF91のプロトタイプとして制作されたMSという設定を作り、若干ディテールに手を加えて、別の展開をさせることにしたんです。

引用元:ニュータイプ100%コレクション 機動戦士ガンダムF91 p.95(発売時1991年5月1日)

内容抜粋

  • のちに『機動戦士ガンダムF91』となる新企画は1990年に展開する予定だった
  • F91のデザインは進みつつも、放送媒体が決まらないまま時間が過ぎた
  • 時間切れで、90年中の展開が不可能となる
  • デザインは1年寝かせると古くなる上に、バンダイからつなぎの企画を要求された
  • F91プロトタイプの設定を作り、ディテールアップした初期案をF90として商品化させた

『ガンダムF91』には、1990年4月TV放送開始といった話もありましたが、89年10月には実現不可能なレベルに追い込まれます。その後は、91年の劇場公開を目指して制作は続きました。

しかし、1990年における商売ネタが欲しかったバンダイの思惑もあり、F91のプロトタイプという設定を作り、初期案に手を加えることで、F90として商品化に成功しました。F91のボツ案がF90に使われたといっても良いと思います。

Bさん

F91の映画化が1年延びたから、F90の商品化で1990年は乗り切る!デザインはF91初期案を使います!

まとめ|発注ミスにより本当に幻となったガンダムが存在する

F91とF90のデザイン

左:F91、右:F90

今回は、F91の初期案が、ガンダムF90としてガンプラ化された理由をまとめてみました。F90の商品化は、1990年中の展開を目指していた”新ガンダムの企画”が遅れたことによる苦肉の作だったと言えます。

ガンダムF90をかっこ悪いと評価する声は聞いたことないです。それは、大河原氏がF91の初期デザイン段階で、『誰が見てもガンダム』だとわかるように描いたからで、結果としてF90は今でも人気があります。

ー発注ミスにより幻となったガンダムが存在するー

危うく陽の目をみることもなく、埋もれてしまいかねなかったF90。だが、その陰には、本当に幻となってしまったガンダムもあるという。

「F90のデザインを発注した時、わが社(サンライズ)とバンダイさんが同時に大河原さんにお願いしちゃってるんです。だから本当はもう一体デザインがあるんです。

これこそ真に気の毒な(?)ガンダムといえよう。

引用元:ニュータイプ100%コレクション 機動戦士ガンダムF91 p.95(発売時1991年5月1日)

ただ、F90のデザイン時にサンライズとバンダイが同時発注したらしく、もう一体別のガンダムが存在していたようです。第三者が保管していれば、永野デザインのように流出公開が期待できますが、その可能性はないでしょう!

まさに気の毒ガンダム。

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